オバマ大統領も大のお気に入りと伝わるスマートフォンのブランド、BlackBerry。2009年2月20日、約1年前にリリースされたBlackBerry Boldは、企業ユースを中心に広まりを続け、個人ユーザーに対しても定評のある端末に成長してきました。
BlackBerryがビジネスユースで支持される理由とは、いったいどこにあるのでしょうか。
3つのターゲットをカバーするBold
BlackBerryを開発するリサーチ・イン・モーションの小林盛人氏は、BlackBerry Boldがターゲットとなるのは3種類のユーザーだと語ります。
「まずメインターゲットとしたいのは、20代後半から50代のビジネスパーソンです。メール、インターネットの調べ物などの用途で使う人たちには、非常に便利に使って頂ける端末です。もちろん会社から支給される端末としてBoldを持つ人もいると思いますが、そうでなくても、自分自身の仕事の生産性、効率性を高めたい、管理したい人にはお勧めです」(小林氏)
メインとなるターゲットは、スマートフォンが狙うユーザー層ど真ん中。ただ1点違うのは、 個人が自分のケータイとして持つこともターゲットに含めた点です。これまでのBlackBerryが法人契約主体でしたが、より積極的にビジネスパーソン個人にもリーチしようと取り組んでいます。
「2点目は、モバイルパソコンをいつも持ち歩いている人です。Netbookをかばんに入れて、オークションやブログ更新を絶えずやっている人にとって、非常に魅力的な端末になるはずです」(小林氏)
スマートフォンについてよく比較されるNetbook。ソニーのVAIO type Pは、ドコモのパケット通信回線を使った常時接続性をアピールするなど、状況も変わってきました。現在のユーザーの多くはPCを開いて、イー・モバイルなどのモデムを接続、ダイアルアップをしてネットにつないでいます。
こういうユーザーにとっては、すぐに取り出して情報をチェックでき、また得意の打ちやすいキーボードからのメール返信も苦ではない、そしてカメラもBlogには十分なレベルの物が搭載されている点で、即戦力として期待できます。情報発信をしたり、メールで指示を出す情報の起点となるユーザーにとって、文字入力は大きなアドバンテージと言えるでしょう。
「3点目は、デザインにこだわるユーザー。海外のプロダクト、例えばクルマ、カバン、ファッションなどに興味のあるユーザーには響くデザインの端末を持ってきました。人とはちょっと違った物を持っていたいという人に、全世界のビジネスパーソンが持っているケータイとして選んで頂ければ」(小林氏)
モノとしての魅力を高めている点は、BlackBerry Boldが過去の端末に比べて大きく優れています。この3点から、BlackBerry Boldはユーザーをビジネスから寄り広い人々へとリーチし始めました。
導入・管理までバックアップする体制
パーソナル・ユースをアピールするBlackBerry Boldだが、やはり法人市場向けの端末としての側面は強くでています。BlackBerry Enterprise Serverと社内システムの組み合わせによって、イントラネットを確実に、そして安全に持ち出すモバイル環境を提供するソリューションとして、BlackBerryは世界的に信頼されるブランドでした。
では、日本での導入のカギはどこにあるのでしょうか?
「海外では小さな規模の企業でも、仕事やコストの効率化のために選んで頂けるようになっています。しかし日本では、大企業が先行すると見ています。その中で、大企業と取引のあるシステム・インテグレーター(SIer)企業の方々に、扱って頂けるよう紹介していくことから始める必要があります」(小林氏)
つまり、BlackBerryという新しいモノを、導入する商材としてSIerに紹介・説明して初めて大企業に提案が通る、という日本の商慣習にフィットさせる必要性を指摘しているのです。「SIerさんといかに関係を作っていくかが、企業向け導入でのポイントになるのではないか」と小林さんはパートナーとの協業に力を注いでいます。
一方、端末を販売するNTTドコモはどのようにBlackBerry Boldを売っていくつもりなのでしょうか。スマートフォンビジネスを担当する三嶋俊一郎氏は、主にサポートを充実させることから、安心して使ってもらえる環境作りを推し進めています。
「ケータイなら、ドコモ端末を現場で販売している人たちの知識も深い。例えばi-modeであっても、登場して10年間経過した蓄積の上に、i ウィジェットやi コンシェルといった新機能が乗っています。ところがBlackBerry Boldは全く毛色の違う、ゼロから理解してもらう必要があり、全国を回って説明する必要がありました」(三嶋氏)
店頭で販売するスタッフの知識もゼロからのスタートだ。もちろんBlackBerry Boldを選ぼうとするユーザーもゼロからのスタートになる。そこでドコモは、料金や購入後のサポートを、一般の端末以上に手厚く用意して、ビジネスで使うユーザーへのサービス充実につとめています。
「BlackBerry Careという、BlackBerry専門のサポートサービスをスタートしています。顧客だけでなく代理店にとっての駆け込み寺のような存在です。ケータイではなくITやパソコンのサポートを経験してきたスタッフを配置して、分からないことやトラブルの解決に当たります」(三嶋氏)
将来的には、Windows MobileやAndroid端末なども含む、全てのスマートフォンを一元的にサポートできるドコモのスマートフォンのワンストップサービスを目指しているそうです。
Google Appsを使えば、中小企業でも導入可能
また、三嶋氏と共にドコモのスマートフォン戦略を進める三浦智史氏が、中小企業向けのBlackBerry Boldの低コスト導入について、紹介してくれました。
「BlackBerryは、Google Appsとの親和性が非常に高いのです。BlackBerry Enterprise Serverを社内に設置するほどの規模がない中小企業は、BlackBerryとBISの組み合わせに、Google Appsを利用すれば、メールやスケジュール、連絡先などのプッシュや同期が可能になります」(三浦氏)
Google Appsでオリジナルドメインを設定すれば、独自ドメインのメールをセキュアに利用できます。またGoogleの全てのアプリをBlackBerry Boldで利用可能になっているそうです。大規模な企業導入はリサーチ・イン・モーションとSI会社とのコミュニケーションによって、また中小企業に対してはドコモの専門サポートが受けられます。
幅広い企業ユースへの対応、手厚いサポート体制、そして個人が持つ「モノ」としての魅力を高めたBlackBerry Boldは、スマートフォンが乱立するであろうこれからの日本のモバイル業界においても、一定の地位を保つことになりそうです。